医療・福祉施設の給食業務、2027年度から受入れ再開の案 外食業分野から飲食料品製造業分野へ
2026年4月から止まっていた外食業分野の特定技能について、病院・福祉施設・学校の給食をつくる業務を飲食料品製造業分野へ移し、2027年度から受入れを再開する案が示されました。給食を受託する事業者に直接関わる変更です。
外食業分野の特定技能1号は、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が止まっています。病院や福祉施設、学校の給食を受託している事業者からは、再開の見通しを尋ねる声が続いていました。
2026年10月19日、法務省で開かれた有識者会議で、この給食業務について受入れを再開する案が示されました。分野を外食業から飲食料品製造業に移したうえで、2027年度から再開するという内容です。
示されたのは「2027年度から、分野を移して再開する」案
資料を提出したのは農林水産省・厚生労働省・文部科学省の3省です。外食業分野の対象だった医療・福祉施設給食業等の新規申請分について、令和9年度(2027年度)から緊急的措置として飲食料品製造業分野で受け入れる、とされています。
対象となる業務は、食材の下処理、非加熱・加熱調理等の一連の製造を行い、医療・福祉施設給食等を製造する業務です。
現時点では「案」の段階です。正式には分野別運用方針の改正が閣議決定されて確定します。時事通信の報道では、政府は2026年12月の閣議決定を目指しているとされています。
どの事業所が対象になるか
受入れの対象となる事業所は、分野ごとに条件を定めた「上乗せ告示」を改正して追加されます。日本標準産業分類(総務省が定める業種の分類)で次の業種にあたる事業所が、小分類773の施設給食業を営む場合が対象です。
- 中分類81 学校教育
- 中分類82 その他の教育・学習支援業
- 中分類83 医療業
- 中分類85 社会保険・社会福祉・介護事業
分野の線引きは次のように変わります。移行前は、外食業分野が店舗・社員食堂に加えて医療・福祉施設や学校も含み、調理・店舗管理・接客をまとめて担う区分でした。移行後は、外食業分野が店舗と社員食堂に絞られ、医療・福祉施設や学校等の調理は飲食料品製造業分野に移ります。
なぜ分野を移すのか
資料では、理由が2つ挙げられています。1つは業務の実態です。セントラルキッチンのように接客のない事業所は、以前から飲食料品製造業分野で受け入れる運用が行われてきました。医療・福祉施設給食等の事業所の業務内容を精査したところ、接客の比率が低い事業所が多いことが確認されています。
もう1つは人材確保の切迫です。給食業務の就業者は医療・福祉や学校教育という公共サービスに欠かせない人材ですが、国内での確保が進まないなかで、外食業分野の受入れ停止措置も重なりました。資料は、このままでは患者や利用者の病態・治療方針に応じた給食の提供が困難になり、特に人材確保が難しい地方部で、適切な栄養管理や療養環境の維持に重大な支障を来すおそれがあるとしています。
資料に示された人手不足の数値
判断の根拠として、次の数値が示されています。
- 有効求人倍率(2026年5月)は、給食等調理員(学校給食を除く)が7.37倍、学校給食調理員が2.36倍。全職業の平均は0.99倍
- 求人充足率は33.0%。募集149,418人に対して採用は49,351人
- 欠員のない事業者は存在せず、約4割の事業者で多数の欠員が生じている。3%は事業からの撤退も検討している
- 1日平均提供食数は増加が見込まれる一方、調理従事者数は横ばいで推移している
有効求人倍率は厚生労働省「職業安定業務統計」、充足率と欠員の状況は日本メディカル給食協会の会員事業者を対象とした厚生労働省の調査(対象38社・有効回答34社、2026年8月実施)に基づく数値です。
受入れを検討する事業者が押さえる点
- 対象は新規申請分です。資料では「新たに受け入れる外国人」について飲食料品製造業分野として育成・従事させるとされています。すでに外食業分野で在留している方の取扱いは、この資料には記載がありません
- 育成就労の外食業分野では「医療・福祉施設給食製造」が主たる技能として設定されていましたが、これが飲食料品製造業の業務区分に付け替えられます
- 特定技能1号の技能水準は、HACCPに沿った衛生管理に対応できる程度の業務に従事できること、とされています
- 育成就労から特定技能1号へ進むには、育成就労評価試験(専門級)への合格が必要です
育成の道筋も示されています。1年目は衛生管理作業と下処理作業、調理作業、計量・盛付作業ができるようになること。2年目から3年目は、HACCPの重要管理点(CCP)に基づく管理作業や、アレルギー等に配慮した調理作業、調理状態の確認作業までを担えるようになることが目標とされています。
今後の見通しと、いま確認しておきたいこと
この案が確定するのは閣議決定を経た後です。同じ会議では、介護分野における特定技能1号と育成就労の受入れ見込数の配分変更も議題に上がっており、分野別運用方針は全体として見直しが進んでいます。
給食業務を受託している事業者がいま確認しておきたいのは、自社の事業所が日本標準産業分類のどの業種にあたるかです。分野が変われば、受入れの枠も、求められる試験も、業務区分の扱いも変わります。外食業分野での受入れを前提に準備を進めていた場合は、計画の組み直しが必要になる可能性があります。
本記事は2026年10月20日時点で公表されている資料に基づく一般的な情報です。制度は今後の閣議決定や告示の内容によって変わる可能性があります。個別の受入れ可否や手続きの判断については、当組合または専門家にご相談ください。
Sources
参照した公表資料
